栗東民報 2014年9月21日号


来年4月から始まる『子ども子育て新制度』

現行の保育水準を確保し
「国基準」に上乗せした市独自基準の設定を

H27年4月から子ども子育て新制度が実施されます。これにより就学前の子ども達の保育に関わる条例案が、9月議会に提案されています。

従来の保育園・幼稚園以外に、認定こども園や地域型保育所が新設されます。「国基準」では、地域型保育所に保育士資格のない保育者や給食の外部委託を認めるなど、現行の保育園と比較すると安心安全を軽視する内容が含まれており、問題視されていました。

このため、県内では、大津市や草津市などの5市が「国基準」に上乗せした条例を提案しています。しかし、栗東市は「国基準」通りの条例を提案しています。
 


保育士資格がなくても保育できる『国基準』

子どもの安心安全に関わる大きな問題

新制度では、大枠で施設型保育と地域型保育の2つに分類されます。施設型は保育園・幼稚園・認定こども園です。新たに設置される地域型保育所は小規模保育・家庭的保育・居宅訪問型保育・事業所内保育となっています。

全国的に保育園に入園を希望しても、園に空きがなく入園できない「待機児童」が増加しています。その大半が、0~2歳の低年齢児で、本市においても毎年存在しています(下表参照)。その解消策として創設されたのが、地域型保育です

現在、市内にあるのは、施設型の保育園と幼稚園だけで、認定こども園や地域型保育所は存在しません。市は「待機児童数から考えても、地域型保育が本市で設置される可能性は低い」としています。しかし、市の認可基準を条例として定めるのであれば、子どもの安全を重視した基準を設定するべきです。
 

  *年度末における待機児童数
    ただし、H26年度は9月時点

 年 度  人  数
 H26   25名   0歳児:15名
        1歳児:5名
        2歳児:5名
 H25   46名
 H24   49名
 H23   89名
 H22   68名
 H21   82名


家庭的保育

保育者1人で 低年齢児3人の保育は難しい

条例案で示されている基準によれば、小規模保育B型は職員の半数が保育士資格を持っていればよいとし、家庭的保育は0~2歳児3人を保育士資格のない保育者1名が保育するとなっています。

太田議員は「「保育者1名が、年齢の異なる低年齢児3人を保育するのは困難」として、「年齢の異なる子ども2人以上の保育にあたる場合、保育者は2名必要である」と基準を見直すよう求めました。

市は「実施にあたり、規則等を定める。その中で検討していく」と答えました。しかし、具体的な内容は示されませんでした。



保育士を確保し 待機児童の解消を

栗東市の保育の課題は、保育園に入園を申し込んでも入れない“待機児童”が毎年存在していることです。その要因は募集しても保育士が確保できないからです。だからといって、安易に資格のない保育者に低年齢児を任せるのは、安心安全の保育環境とは言えません。

「国基準」では、市の実施する研修を受けた者であれば、家庭的保育や小規模保育(B・C型)の保育者として認めるとなっています。市は、資格のない保育者について、児童厚生員や学童保育所の指導員などの基準も設けたいとしていますが、具体的な内容は何も明らかにされていません。

新制度では

市は保育の必要性の認定と 入園先を「あっせん」

新制度では、保育園や幼稚園を利用する場合、「まず子どもの保育の必要性と保育量を認定した『認定書』の交付を受ける→『認定書』を提示して入園を申し込む→これを受けた自治体は保護者に施設(保育園・幼稚園など)をあっせんし、施設側には入園できるよう要請する」となっています。よって、入園の可否は施設側が決定することになります。

このため、『認定書』の交付を受けながら入園できないケースが発生しても、待機児童としてカウントされなくなることが危惧されます。これに対し、市は「支給認定を受けて「『認定書』を交付した子どもが入園できたか・そうでないかは、これまで通り全て把握し、待機児童の解消に取り組む」と答えました。




保護者から不安の声
 新しい制度の情報が何も知らされず
 保育園の民塩化計画はどうなるのか

各園で説明会の実施を

保護者から「保育がどのように変わるのか」「『認定証』とは何なのか」「保育園の民営化計画は、新制度のもとでどうなるのか」などの不安の声が寄せられています。

太田議員は、新制度の実施に関わって、保護者対象とした説明会を園単位で開催するよう求めました。これに対し、市は「『認定書』発行の手続きが増えるだけで、それ以外の入園申込みや入園手続きは、これまでと変わらない。9月下旬に、市役所で入園説明会を開催するが、新制度に関わる説明会は行わない」と答えました。

子育て中の親たちに直接関わる問題です。もっと、丁寧に市民の声を聞き、不安解消に努めることが求められます。

 






栗東民報 2014年9月21日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美