栗東民報 2014年8月3日号


子どもの貧困率16.3% 過去最悪

親から子への
「貧困の連鎖」を断ち切る政策の具体化を

『子どもの貧困対策法』成立から1年以上が経過
事態は好転するどころか悪化

日本の「子ども貧困率」が16..3%となり、過去最悪を更新したことが、厚生労働省の最新調査で明らかになりました。この数字は、ほぼ6人に1人の子どもが貧困状態にあることを示しています。

子どもの貧困が社会問題になってから約10年が経つにもかかわらず、事態が好転するどころか悪化していることは深刻です。

昨年の国会で成立した『子どもの貧困対策法』は「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現する」と掲げています。

その成立から1年以上が経過していますが、具体化が進んでいません。親から子への「貧困の連鎖」を断ち切るために、早急な政策展開が求められます。
 



子どもの貧困は社会にとって損失

家庭や子どもの自己責任ではすまされない
親の病気や死去・離婚・失業などさまざまな事情によって家計が苦しくなり、子どもにしわ寄せがいきます。

貧困状態に置かれた子ども達は、食事も満足に取れず、病気になっても十分な治療を受けられないなど健康が脅かされています。給食費や教材費・修学旅行費などが負担できず、学校生活から脱落する子どもも生まれています。経済的理由から進級や進学を断念する例も後を絶ちません。家庭や子どもの「自己責任」ではすまされません。

未来を担う子どもが劣悪な環境に置かれ、将来の可能性を奪われていることは、子どもの人生にマイナスであるだけではなく、日本社会にとっても重大な損失です。
 

ひとり親家庭は54.6%と突出

   ~生活が大変苦しい
とくに苦境に立たされているのはひとり親世帯です。ひとり親世帯の子どもの貧困率は54.6%と突出しています。

ひとり親世帯の大半を占める母子世帯の8割以上が「生活が苦しい」と答えています。「大変苦しい」と訴える母子世帯は49.5%に上るという調査報告もあります。

シングルマザーの大半は働いています。ひとりで子どもを育てながら働くという厳しい条件のなかで、いくら働いても貧困状態から抜け出せない事態は、社会のあり方としても異常な姿だと言えます。

両親がいる家庭でも広がる傾向

最近は両親のいる世帯でも、子どもの貧困が広がる傾向があると言われています。

父親が失業し、母親が非正規雇用の子育て世帯の増加などです。親の過酷な雇用・経済環境が、子ども達の生活を直撃していることは極めて重大です。


消費税の増税・社会保障の削減など

子どもの貧困を拡大する政策の中止を

消費税の増税や社会保障の削減、雇用破壊をすすめる安倍政権の政治は、子どもの貧困を加速させています。生活保護費の削減、それに伴う就学援助の縮小、ひとり親世帯への児童扶養手当のカットなどは、子どもを持つ生活困窮世帯を追い詰めています。

子どもの貧困対策から逆行した政策は中止し、子ども達を応援する政治へ転換することが求められます。


就学援助を受ける子どもが増加傾向

『新・集中改革プラン』は子どもの貧困を深刻化
経済的な理由により就学援助を受ける小中学生が、全国的に増加傾向にあると言われています。就学援助とは、一定所得に満たない世帯における小中学生の学級費や給食費等を補助する制度です。

栗東市においても、就学援助を受ける子どもは近年増加傾向となっています(下グラフ参照)。

そういう状況のもと、財政健全化を口実に『財プロ』や『新・集中改革プラン』が策定され福祉・教育施策が大幅に削減されました。本市のこういう動きも、子どもの貧困を深刻化させる要因であることは否定できません。

保育料や水道料金の値上げなど市民に負担増を押し付けるのではなく、福祉の充実を中心に据えた暮らし応援型の市政への転換が求められます。










栗東民報 2014年8月3日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美