栗東民報 2013年4月7日号

法的根拠のない同和事業は
速やかに終結を

国の同和対策事業は11年前に終結

2002年3月31日をもって地域改善対策特別措置法(同和対策の根拠法)が失効したことで、33年間も続いた国の同和対策特別事業は終結しました。その後11年が経過していますが、県内の自治体では、いまだに継続的に取り組まれているところもあります。

栗東市もそのひとつで、同和地域に限定したさまざまな事業が実施されています。

日本共産党議員団は、これまでから一貫して法的根拠のなくなった同和事業の速やかな終結(廃止)を求めてきました。

 




 同和地区に限られた事業(個人施策)  栗 東 市  草津市 守山市  野洲市
 事業内容 H24年度の実績(金額と件数
 @固定資産税と
都市計画税の減免
 H24年度30%減免、H25年度20%減免、 H26年度10%減免  2449千円(48件):固定資産
  86千円(10件):都市計画
H24年度で廃止 H27年度で廃止 H26年度で廃止
 A就修学奨励資金給付 高校、大学、各種学校を対象に奨励金と入学支度金を給付  636千円(5件):奨励資金
 32千円(2件):入学支度金
H24年度で廃止  ×(なし) H24年度で廃止
 B修学奨励助成金給付  県の奨励資金の貸付に対し、その返還金を給付  なし(H23年度もなし)  ×(なし)  継続  継続
 C中小業者融資利子補給  中小企業者の融資にかかる利子補給。
年間1%以内
 なし(H23年度もなし)  H24年度で廃止  H23年度で廃止  H23年度で廃止
 D技能取得訓練補助金交付  運転免許等の技能取得訓練受講補助金を交付4/5(一般は1/2)、30万円を限度  100千円  H24年度で廃止  H23年度で廃止  H27年度で廃止

           栗東市および近隣市における同和対策事業(個人施策)の実施状況


就修学奨励資金給付など

近隣市はすべて廃止 栗東市は存続
大津市や近江八幡市、日野町など、同和対策事業を終結している自治体もあります。同和対策は、終結に向かい動いています(上表参照)。

『A就修学奨励資金給付』事業は、近隣市はH24年度をもってすべて廃止しました。栗東市では、H24年4月から小中学生の奨励金のみの廃止にとどまっています。

他の事業においても、草津市はすべてH24年度で廃止、守山市・野洲市では廃止時期が決まっています。しかし、栗東市では廃止時期すら明確に示されていません。もっとも遅れた自治体になっています。



財政危機と言いながら
同和対策事業の予算は増額

栗東市におけるH25年度の同和事業関連の予算は、人件費等も含め、約1億8700万円です。

国からの補助金は一切なく、県から1800万円程度の補助があるだけです。差引した1億6900万円が、市単独で同和事業に支出されていることになります。

H24年度との比較では、約230万円も増額されています。とても財政危機とは思えない税金の使い方ではないでしょうか。


 

実績がなくても予算化

『B修学奨励助成金交付』や『C中小企業融資対策』は、H23・24年度ともに利用がありません(上表)。こうした事業から廃止していくべきです。

ところが、H25年度当初予算において、『B修学奨励助成金交付』には25万円が予算化されています。利用もない事業に予算を計上する必要がどこにあるのでしょうか。

 『A就修学奨励資金給付』は例年95万円が予算化されていましたが、H25年度は138万円に増額されています。市は「対象者が増えたため」と答えました。しかし、利用は67万円(H24年度実績)にとどまっています。


近隣市に類を見ない充実・温存ぶり
一体いつまで続けるのか

市民向けの福祉施策は、財政危機を口実に近隣市並みの水準にするとして、利用者の意向も聞かずに廃止・削減しました。その一方で、同和対策事業は近隣市に類を見ない充実・温存ぶりです。

日本共産党議員団は3月議会の代表質問で、同和対策事業の削減・廃止、ならびに参加者が少ない地区別懇談会等の同和教育事業をやめるよう求めました。

これに対し、野村市長は「現時点での限定的な事業は必要」とし、「同和教育は日本の人権教育のさきがけであり、同和問題の解決に向け研修・啓発等を推進する」と答えています。

国は11年前にやめ、近隣市もやめていく中で、一体いつまで続けるつもりなのでしょうか。福祉施策を大幅に削減された市民として、決して納得のいく話ではありません。

栗東民報 2013年4月7日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ