栗東民報

栗東民報 2012年8月12日号

消費税増税法案と一体で審議されている

「社会保障制度改革推進法案」とは

 

消費税率の引き上げとセットで 社会保障制度の崩壊を狙う

参議院で消費税増税法案と一体で審議されている「社会保障制度改革推進法案(以下、推進法案)」は、民主・自民・公明の3党合意によって、突然衆議院に提出されたものです。ほとんど審議されることなく6月26日に可決され、参議院に送られました。

参議院の審議において、社会保障制度を根幹からくつがえす危険な内容が含まれている法案であることが明らかになってきました。

消費税増税法案とセットで推進法案を通し、単に消費税率を引き上げるだけでなく、同時に社会保障制度を根本から改悪していこうというのが、3党合意の中身なのです。



憲法25条に保障された 「生存権の保障」をおびやかす悪法

「社会保障制度改革推進法案」の最大の問題点は、憲法25条に明記された国民の生存権を保障する国の責務を放棄し、「自助努力」や「家族の助け合い」に置き換えようとしていることです。

この法案では、これまで政府の文書で必ずうたわれてきた医療保険における「国民皆保険の堅持」が消え、「適正化」の名による給付範囲の削減が行われようとしています。

また、生活保護制度の見直しでは、低年金や低賃金、失業者の増大など、生活保護受給者を増やしてきた根本的な原因には触れずに、不正受給者への厳格な対処や給付水準の適正化(引き下げ)などを掲げています。

日本弁護士連合会の山岸会長は「国による生存権の保障および社会保障の理念を否定するに等しく、憲法25条1項および2項に抵触するおそれがある」との声明を出し、推進法案に強く反対するとしています。また、日本医師会も国民皆保険制度を壊すことへの懸念を表明しています。

生活保護問題対策全国会議は、生活保護の見直しに「社会構造に目を向けないまま、利用者に対する厳格な対応のみが目立つ」と指摘しました。
 



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日本国憲法第25条

1、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


社会保障制度を壊し 「助け合い」の保険制度に

「推進法案」は、国が社会保障制度の責任から手を引くことを宣言し、年金や医療などを「助け合い」の保険制度に変質させる方向性を示すものです。

現に国民健康保税が高すぎて払えないなどの深刻な事態は、国庫負担が幅に削減されたために、保険税が引き上げられたために生じたものです。「推進法案」は、こうした公費負担の削減にいっそう拍車をかけ、制度そのものの崩壊につながりかねません。

消費税の増税にたよらず 社会保障の充実を

推進法案」では、社会保障削減の立案・実行の責務を、国に負わせる条項まで設けました。「医療崩壊」「介護難民」などの事態をいっそう深刻にすることは必至です。

社会保障の理念と制度を根本から否定する「推進法案」は、国民の運動と国会審議で廃案にさせるしかありません。憲法25条にもとづき国民の尊厳が保障され、人間らしく生きていける社会を築くためには、消費税の増税にたよらず、社会保障を充実させる政治に転換することが求められます。



「マイナンバー制の危険な中身
消費税増税の関連法案としては位置づけられていませんが、増税が紛糾すれば、「推進法案」のように突然提出され、成立させてしまうのではないかと危惧されているのが、「共通番号制法案」です。

「マイナンバー制」とも呼ばれ、いかにもこれができないと社会保障が充実できないかのように宣伝され、「社会保障の商品化」や「真に手を差し伸べるべき人」とそうでない人を区別するために詳細な個人情報の把握が必要だなどと言われてますが、この法案の中身は全ての国民に背番号をつけた個人のデーターが管理者のもとに集約されるというものです。

勤務先や取引関係、医療、介護、保険、収入、資産、生活状況、趣味、嗜好、思想傾向から行動まで、すべての個人情報が番号で把握されます。番号を検索すれば、一目瞭然でその人の行動や思想がわかるというシステムです。要するに、国民管理の強化法そのものです。










栗東民報 2012年8月12日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西とき子
 市会議員 太田ひろみ